最近、「消費税還元セール禁止特措法」のニュースをよく耳にしますね。
政府は広告宣伝文句についての是非でバタバタしていますが、ここでは
何故消費税が転嫁できないのか?
何故弱い者いじめに繋がるのか?
を消費税の仕組みを基に、簡単に説明します。
まず、原則的には消費税が上がろうと下がろうと儲けには影響しません。
なぜなら、消費税は消費者が負担するものだからです。
たとえば、消費税5%の下で、1,000円の商品を 1,500円で販売する卸売業者を想定しますと
売値 1,575円 (税75) 仕入値 1,050円 (税50) 儲け 525円
売値の中の消費税と仕入値の中の消費税の差額は、業者が国に消費税として納めるので
75 - 50 = 25円 は消費税として支払います。
結果、 純粋な儲けは 525円 - 25円 で 500円 になります。
これが消費税8%に上がっても
売値 1,620円 (税120) 仕入値 1,080円(税80) 儲け 540円
消費税 120 - 80 = 40円 で純粋な儲けは 500円 と変わりません。
ただしこれは原則で、実際は仕入金額が1,080円となっても、1,620円で売れるとは限りません。
ニュースで言われているように、大手の小売スーパーが、消費税還元セールをやって、
「 うちのスーパーでは消費税を上げずに売るので、売値を1,620円でなく、1,575円のままにしろ! 」 と言われた場合。
売値 1,575円(税117) 仕入値 1,080円 (税80) 儲け 495円
消費税 117 - 80 = 37円 で純粋な儲けは 458円 とかなり減ってしまいます。
重要なポイントは、売値が1,575円のままでも、内税は5%の時の75円でなく117円になってしまう事です!
≪ 計算式 1,575円 ÷ 1.08 = 1,458円 (売値) 1,575 - 1,458 = 117円 (消費税) ≫
つまり、価格が同じだと、売値に含まれる消費税が増えるため、実質的な値引きになるのです。
消費税をしっかりと転嫁させる為には、8%の消費税を売値にのせなければいけません。
電気代・ガス代等の光熱費や電車代、電話代等の経費にもしっかりと8%の消費税がかかってきます。
支払う金額は上がっているのに、貰う金額が上がらなかったら、儲けは減る一方です。
また、街の飲食店などでも、そのまま8%の消費税をのせると客足が遠のくのを恐れて、価格を据え置きにする店も多いのではないでしょうか。
その場合も実質的な値下げなので、増えた消費税分を店側が負担するようなものになります。
原則的に消費税は消費者が負担するものなので業者には影響しないものですが、買い控えや転嫁の問題で経営に影響が出るのは必至です。
消費税増税に備えて、価格の見直しやコスト削減等の検討が必要ではないでしょうか!